Analysis 2026-05-17 · 6 min read · Mallow & Marsh
カルビー・タカラトミー・住商 — 日本ブランドはすでに Roblox で何を動かしているか 「日本市場が伸びてる」は前から言われていました。実際の動きを見ると、すでに大手が公式ワールドを構えています。タカラトミーは 2023 年 10 月に Beyblade X の公式ワールド「BEYBLADE PARK」をローンチ、住友商事は 2024 年 3 月にメタバースコンテンツ事業を Omochi Studio として開始、カルビーは 2025 年 5 月にアジアの菓子メーカー初の Roblox ゲームを公開。「他社が動いた」は何より強い営業材料です。Mallow と Marsh が、いま日本ブランドの何を見るべきか整理します。
この記事のまとめ
タカラトミーは 2023 年 10 月、Beyblade X の公式ワールド「BEYBLADE PARK」をローンチ 住友商事は 2024 年 3 月、メタバースコンテンツ事業を Omochi Studio として展開開始 カルビーは 2025 年 5 月、アジアの菓子メーカー初の Roblox ゲーム「じゃがりこ かくれんぼ」を公開 Roblox 日本クリエイター数は過去 2 年で約 5 倍、ユーザー数も 2 倍超 (日経、2025年10月時点の集計) 登場人物 Mallow
SENIOR CONSULTANT · 13Y
ZehnStudio26 のシニアコンサルタント。Roblox 黎明期から関わっている古株。難しい話を噛み砕くのが得意。
Marsh
ROBLOX 初心者 · 読者代表
あるブランド企業のマーケター。Roblox は最近気になり始めたばかり。専門用語が出るたびに「それ何?」と聞いてくれる、読者の代弁者。
Marsh
Mallow、社内で「Roblox やった方がいい」って話が出るたびに、「日本でやってる会社あんまり聞かないよね」で終わるんです。これ、本当のところはどうなんですか?
Mallow
数年前までは「あんまり聞かない」が事実だった。でも 2023 年から具体名が並び始めて、いまや 3 つ並べるだけでも資料になる。カルビー、タカラトミー、住友商事。
Marsh
え、お菓子のカルビーが Roblox やってるんですか? 何を?
Mallow
2025 年 5 月にリリースした「じゃがりこ かくれんぼ!キリンたちを探せ!」というゲームに、じゃがりこのキャラクターが登場する。アジアの菓子メーカーで Roblox にゲームを出したのは、これが初めて。スナック菓子の IP がフィジカルから切り離されて、ゲーム内体験として独立して機能してる、っていうのが象徴的。
Marsh
それ、商品買ってくれるんですか? ゲームの中の話ですよね。
Mallow
「短期的な販売増」じゃなくて「中長期のブランド想起と若年層との接点」を狙う動き。お菓子ブランドにとっての勝負所は、現代の子どもがどこで時間使ってるかに「居る」こと。テレビでも YouTube でもなく Roblox に居る時間が増えてるなら、そこに居ないと忘れられる。
Mallow
玩具メーカーだから IP 資産は山ほど持ってる。今のところ Roblox 上の公式ワールドとして稼働しているのは Beyblade X 関連。2023 年 10 月にローンチした「BEYBLADE PARK」がそれで、Bey バトルが遊べる場として運営されている。トミカ・リカちゃん等の他 IP も将来的に展開する余地は大きい。
Marsh
住商は商社ですよね。何で Roblox に?
Mallow
商社は IP やコンテンツの権利を扱う商売だから、Roblox は事業の一部として極めて自然。2024 年 3 月に「Omochi Studio」というプロダクション名でメタバースコンテンツ事業をスタートしてる。代表作はあさみみちゃんを使った「Welcome to ASAMIMI Restaurant!」。海外 IP の日本展開、日本 IP の海外展開、両方で Roblox プラットフォームを使う動きが出ている。
Mallow
ある。日経が 2025 年 10 月時点で報じた数字では、Roblox 日本クリエイター数は過去 2 年で約 5 倍、ユーザー数も 2 倍超。アジア太平洋全体の成長率を上回るペース。Roblox 自身もアジア投資を強化しているフェーズ。
Marsh
それを聞くと、なんで動き出してるんですかね?
Mallow
3 つ重なってる。(1) 子ども世代の Roblox 認知が学校現場で当たり前になってきた。(2) 若年ユーザーが大人になり始めて、購買力を持ち始める。(3) Roblox 側の日本語サポート・日本オフィスの動きが加速。この 3 つが揃って、2023〜2025 年にかけて待ちの企業が動き出した。
Marsh
うちが今から参入して、もう遅いってことはないですか?
Mallow
業界的にはまだ拡張フェーズ。先行優位はまだ取れる段階。ただし、来年の今頃には「参入する前提でどう差別化するか」のフェーズに移る。早期参入の優位を取れるラストチャンスとも言える。
Marsh
焦って雑な企画で出したら、逆効果になりませんか?
Mallow
大事な指摘。事故るパターンは決まっていて、「自社の既存 PR 動画を Roblox に貼り付けるだけ」「ブランドサイトの 3D 版を作る」「ノベルティを配って終わり」のいずれか。Roblox は「遊ぶ場所」だから、遊びとして成立してるかを基準にしないと、ユーザーは滞在しない。
Marsh
じゃあ、いま動き出すブランド側のチェックリストは?
Mallow
(1) 自社 IP の中で「子ども・若年層に響く資産」は何かを棚卸す。(2) 「Roblox で何分遊ばせるか」「リピート率は何 %」など、エンタメ評価指標で目標を持つ (PR 換算じゃない)。(3) パートナー選定では、Roblox 制作経験のある会社と、ブランド理解のあるエージェンシーの両方を組ませる体制を考える。
Mallow
(1) 日本ブランドはすでに具体名で動いている (タカラトミー 2023・住商 2024・カルビー 2025)。(2) 数字でもクリエイター 5 倍・ユーザー 2 倍と裏付けあり。(3) 早期参入優位を取れるラストチャンス。動くなら「エンタメとして成立する企画」が前提。
Marsh
「他社が動いた」って、社内提案で何より効くやつですね。