Cross-Game Sales 廃止と Transfers API — Roblox 経済圏の「お小遣い文化」が大人化する

2026 年 5 月 29 日、Roblox は「クロスゲーム販売」を停止しました。あるゲーム内で別ゲームのパスやアイテムを買い、その売上を寄付的に他の作者へ送る — Pls Donate 系の文化が終わりました。代わりに導入された Transfers API は、Robux の送金を Roblox 公式 UI 経由でコントロールする仕組み。ブランド側のマネタイズが「透明化」される話を Mallow と Marsh が整理します。(2026 年 6 月 1 日更新: Transfers API の送金上限が 2 段階認証済みアカウント向けに引き上げられました — 本文参照。)

Cross-Game Sales 廃止と Transfers API — Roblox 経済圏の「お小遣い文化」が大人化する
この記事のまとめ
  • 2026 年 5 月 29 日、クロスゲームでのパス・DevProduct 販売が停止された
  • 代替の Transfers API は送り手に Roblox Plus 加入を要求。上限は当初 500 R$/日・1,000 R$/月だったが、2 段階認証済み・good standing のアカウントは 5,000 R$/日・10,000 R$/月 に引き上げられた
  • 受け取る側は 90%、ゲーム作者が 10% の手数料を受け取る構造
  • Pls Donate 等のグレーな「寄付モデル」終焉。ブランド UGC のマネタイズはより透明・計測可能な形へ

登場人物

Mallow
SENIOR CONSULTANT · 13Y

ZehnStudio26 のシニアコンサルタント。Roblox 黎明期から関わっている古株。難しい話を噛み砕くのが得意。

Marsh
ROBLOX 初心者 · 読者代表

あるブランド企業のマーケター。Roblox は最近気になり始めたばかり。専門用語が出るたびに「それ何?」と聞いてくれる、読者の代弁者。

Marsh
Mallow、Roblox が「クロスゲーム販売を停止する」って発表したらしいんですけど、聞き慣れない用語ばかりで……。これ、ブランド側にも関係する話ですか?
Mallow
間接的だけど関係する。まず「クロスゲーム販売」を説明する。Roblox には開発者向けのアイテム販売の仕組み (GamePass や DevProduct) があって、本来は「そのゲームの中で買ってもらう」前提のもの。でも実際は、あるゲームで他のゲームのパスを買って、その売上を他クリエイターに「寄付」する文化が育っていた。
Marsh
それって……変な仕組みじゃないですか? なんでそんなことやってたんですか?
Mallow
「Pls Donate」っていう、文字通り寄付目的のゲームが大量に作られていた。プレイヤーが入ってきて、好きなクリエイターに Robux を投げ銭する。クリエイターの活動を支援するファン文化として機能していた一方で、不正やマネタイズ詐欺の温床にもなっていた。
Marsh
じゃあ、これを停止するのは、いいことですよね?
Mallow
Roblox 側はそう判断した。詐欺・不正の防止が表向きの理由。一方で、ファン文化の側面を完全に切り捨てるわけにはいかないから、代替として「Transfers API」を新設する。
Marsh
Transfers API って何ですか?
Mallow
プレイヤー同士が Robux を送り合うための公式 API。送るときは Roblox の公式 UI が出てきて、そこで操作する。これにより「自分が何にいくら使ったか」が明確に追跡できる。
Marsh
条件があるんですよね?
Mallow
ある。(1) 送り手は「Roblox Plus」っていう有料サブスクに入っている必要がある。(2) 送金上限は当初 1 日 500 R$、1 ヶ月 1,000 R$ だったけど、5 月 18〜21 日のアップデートで、2 段階認証を有効にした good standing のアカウントは 1 日 5,000 R$、1 ヶ月 10,000 R$ に引き上げられた。(3) 受け取り側は送金額の 90% を受け取り、残り 10% は「送金が行われたゲームの作者」に手数料として入る。
Marsh
10% がゲーム作者に……? なるほど、送金プラットフォームを提供したゲームに報酬が入る、ってことか。
Mallow
もう 1 つ重要なのが、送受信ともに年齢確認 (18+) または保護者承認が必要になる点。未成年同士で気軽に Robux 投げ合う、ということができなくなる。これは未成年保護観点ではかなり大きな変更。
Mallow
そう。「Pls Donate」モデルが Transfers API 上で再構築されるイメージ。ただし、有料サブスク必須・上限ありなので、これまでみたいに「誰でも気軽に何万 R$ も寄付」みたいな雰囲気にはならない。
Marsh
うちみたいなブランドからすると、これは何が大事なんですか?
Mallow
3 つの意味がある。(1) Roblox 経済圏全体が「透明化」される方向に動いている。お金の流れがクリーンに追跡可能になる。(2) ブランドが自社 UGC を販売する時、グレーな経路に依存する形にはできなくなる(そもそも依存していたブランドは少ないが、念のため)。(3) 自社ゲーム内に Transfers API を実装すれば 10% 手数料を取れる。
Marsh
それって、ブランドが Transfers API を取り入れるのはアリってこと?
Mallow
ジャンルによる。コミュニティ性が強い体験 (ファッション・音楽イベント・コンサート系) なら、ファン同士の Robux 送り合いが自然な行為になる。一方で、シングルプレイ系のブランドゲームには相性が悪い。「自社の体験設計に合うか」で判断する。
Marsh
実装する場合に気をつけることは?
Mallow
Roblox の規約と UI ガイドラインを必ず読むこと。Transfers API は公式 UI が前面に出てくる設計なので、独自 UI でラップしたり、誤解を招く誘導をすると規約違反になる。あと、未成年ユーザー保護の観点でブランド側のリスク評価も必要。
Marsh
ブランドが今すぐやることは?
Mallow
急いでやることは少ない。(1) 自社既存ゲームでクロスゲーム販売に依存している箇所がないか確認。(2) 今後のコミュニティ系企画で Transfers API の導入が選択肢に入るか、企画段階で検討。(3) Roblox 経済圏の透明化トレンドは中長期的に続くので、自社マネタイズも公式の枠組みで設計する習慣をつける。
Marsh
……まとめると?
Mallow
(1) 5 月 29 日、クロスゲーム販売が止まった。Pls Donate 文化は終わった。(2) 代替の Transfers API は、有料・上限付きで透明性重視 — その上限も 2 段階認証済みアカウント向けに早速緩和された (1 日 5,000 R$、1 ヶ月 10,000 R$)。(3) ブランド側は当面影響薄いが、Roblox 経済圏が「大人化」している方向は把握しておくべき。自社マネタイズも公式枠組みで設計を。
Marsh
「お小遣い文化が大人化する」って、わかりやすい表現ですね。

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