COLUMN 01 Retention

Day1リテンションと24時間以内復帰率

1.2+ sessions / user / day
ZehnStudio26 — Column

Robloxのリテンション指標といえば、Creator Hub のダッシュボードでも目に入る Day1 / Day7 が定番です。一方で2026年のアルゴリズム議論では、それに加えて「24時間以内の復帰率」がより重視されているという見方がよく語られます。その目安として語られるのが 1日あたり1.2セッション以上という数字。Day1は「翌日戻ってきたか」、24時間以内復帰率は「同日も含めた短サイクルの復帰」。本コラムでは、この二つを支えるためにゲームの中に何を仕込むのか、現場でよく採用されている実装パターンを、ひとつの可能性として整理してみます。

この記事のまとめ
  • Robloxのリテンション指標として定番なのは Day1 / Day7。ダッシュボードでも見られる
  • 2026年のアルゴリズムでは、それに加えて「24時間以内復帰率」が重視されているという見方がある
  • 1.2 sessions/user/day という数字は、その復帰率を測るひとつの目安として語られる
  • Day1は「翌日戻ってきたか」、24時間以内復帰率は「同日内の2回目も含めた短サイクル復帰」。打ち手が少し違う
  • 翌日に戻すのはデイリーリワードや通知、同日に戻すのは短ラウンドや時刻指定イベント。両方に効くのがソーシャル系

登場人物

Mallow
SENIOR CONSULTANT · 13Y

ZehnStudio26 のシニアコンサルタント。Roblox 黎明期から関わっている古株。データの裏側を読み解くのが得意。

Marsh
ROBLOX 初心者 · 読者代表

あるブランド企業のマーケター。Roblox は最近気になり始めたばかり。専門用語が出るたびに「それ何?」と聞いてくれる、読者の代弁者。

Marsh
リテンションって、Day1とかDay7のやつですよね。Robloxのダッシュボードでもよく見ます。
Mallow
そう、それが定番。Day1リテンションは「初日に遊んだ人が、翌日にも遊んだ割合」。Day7は「7日目にも遊んでいる割合」。どちらもカレンダー日ベースで測る指標で、Roblox Creator Hub のダッシュボードに最初から並んでいる。
Marsh
この二つを上げれば、それで十分なんですか?
Mallow
基本はそう。ただ最近のアルゴリズム議論を追っていると、Day1/Day7 に加えてもう一つ重要視されているらしい指標がある、という話がよく出てくる。24時間以内の復帰率というやつ。
Marsh
Day1と何が違うんですか? 24時間って、ほぼ翌日ですよね。
Mallow
そこが少しややこしくて、Day1とは別物。Day1はカレンダー日ベースで、「Day 0に遊んだ人が、Day 1にも遊んだか」を見ている。一方の24時間以内復帰率はローリングウィンドウで、「離脱した時点から24時間以内に戻ってきたか」を見ている。同じ日の朝に遊んで夜に戻ってきた、というのもカウントされる。
Marsh
あー、なるほど。「翌日に戻ったか」と「短サイクルで何度でも戻ってくるか」だと、見ているものが違うんですね。
Mallow
そういうこと。同日内に何度も戻る習慣がついているユーザーは、当然24時間以内復帰率も高くなる。その目安としてよく語られているのが、1日あたり1.2セッション以上という数字。これを下回ると「構造的に短サイクルの再エンゲができていない」と評価されやすい、と言われている。
Marsh
じゃあ整理すると、リテンションの世界で気にしたい数字は今こんな感じですか?
Mallow
ざっくり言うとそう。Day1とDay7はカレンダー日ベースの古典的指標で、ダッシュボードで誰でも見られる。24時間以内復帰率は最近重視されているローリング指標で、1.2 sessions/day はその目安。Day1は翌日復帰の話、24時間復帰率は同日復帰も含む話。打ち手も少し変わってくる。
Marsh
じゃあまず、翌日に戻すための打ち手から教えてください。
Mallow
Day1リテンションを支える定番は、デイリーリワードプッシュ通知。どちらも「24時間後にもう一度開かせる」ためのフックだから、性質としては翌日復帰寄り。Robloxには Engagement Rewards Feature Package という公式の仕組みがあって、UI もデータ管理も一式整っているので導入コストが低い。
Marsh
デイリーリワードって、毎日ログインしたらコインがもらえるやつですよね。あれだけで効くんですか?
Mallow
単体だと弱い。コツは三つあると思っていて、まず連続ログイン(streak)を必ず入れること。1日目から7日目に向けて報酬の旨味を段階的に大きくして、後半ほど取り逃したくなくなる設計にする。次に「明日の報酬」を今日から見せること。最後にガチャ要素を混ぜて翌日への期待感を出す。streakの途切れ判定は48時間以内とするケースが多いかな。24時間ピッタリで切ると、たまたま忘れた日に一気に離反するので。
Marsh
通知のほうは、最近何か変わったんですか?
Mallow
2025年に Experience Notifications のレート制限が、「3日に1回まで」から「1日1回まで」に緩和された。これは事実上、開発者がユーザーを呼び戻す手段の幅が広がったと捉えていいと思う。「通知ONユーザーはD1リテンションが1.5〜2倍ほど高い」という事例もよく耳にするけど、これはジャンルや設計でかなり差が出るので、参考程度に。
Mallow
送る中身は、お知らせ型より損失回避型(「ストリーク切れます」「未回収報酬があります」)のほうが反応がいい傾向があるかな。1日1回しか送れないので、ユーザーごとに最適時刻を選んで送る運用が現実的。
Marsh
じゃあ次は、同日内にもう一度戻ってきてもらう話ですね。
Mallow
こっちは設計の重心がやや違ってくる。24時間以内復帰率、つまり1日1.2セッション以上を支える仕掛けの中心は短ラウンド設計だと思っている。1セッションが1時間あると、忙しい日は最初から開かれない。だから1ラウンドを5〜10分で完結させて、「今日もう1ラウンドだけ」と思える心理閾値を下げる。
Marsh
Murder Mystery とかが短いやつですよね。
Mallow
Murder Mysteryで1ラウンド3〜7分、Tower Defenseで1ウェーブ5〜10分、ミニゲーム集合体で1ステージ2〜3分、PvPで1試合5〜8分。このあたりが今のヒット作の中心。実装面では、リザルト画面で離脱されると同日2回目に繋がらないので、「3秒後に次のマッチが始まります」みたいに自動で次を流すのが定石かな。
Marsh
時刻指定イベントって何ですか?
Mallow
1日の中に「行かないと損する時間帯」を意図的に作る運用かな。朝7-9時のログインボーナス2倍タイム、昼12-13時のランチタイムレア、夜19-22時のゴールデンタイムイベント、みたいな組み方。3つ全部取ろうとすると自然に1日3セッションになる。2025年からカスタムイベントが1時間粒度で測定できるようになったので、効果検証もしやすくなった。
Marsh
これずっとやってたら、運営側も疲れちゃいそうですけど。
Mallow
うん、だからこの濃密なスケジュールはローンチ初週だけ組むのが現実的。初週でアルゴリズム評価をブーストしてレコメンド枠を取りに行って、定着フェーズに入ったら通常運用に戻す、という二段構えを取るスタジオもある。
Marsh
オフライン進行って、Tycoon系でよく見るやつですよね。あれはどっちに効くんですか?
Mallow
これはキャップの長さで効く先が変わる、というのが面白いところ。24時間キャップにすると「1日1回戻ればOK」と学習されやすくて、Day1リテンション寄りに効く。8時間キャップにすると朝・昼・夜の3回ログインを自然に促せるので、こっちは24時間以内復帰率や1.2 sessions/day 側に効きやすい。同じ仕組みでも、設定値の選び方で効かせる指標が変わる
Marsh
面白いですね。ソーシャル系はどっちに効くんですか?
Mallow
ソーシャル系はわりと両方に効きやすい。「友達がログインしました」通知で翌日呼び戻すこともできるし、Co-Play限定報酬を昼と夜に分けて出せば同日2回目誘導にもなる。2026年のアルゴリズムには 7-Day Intentional Co-Play Days per User という別の指標も入っていて、これは個人のD1より重視されるという見方もある。

解説 — Day1/Day7に加えて、24時間以内復帰率という第三の軸

リテンション指標の現在地

Robloxでリテンションを測る指標として、Creator Hub のダッシュボードに最初から並んでいるのが Day1 と Day7 です。Day1は「初日に遊んだ人が翌日にも遊んだ割合」、Day7は「7日目にも遊んでいる割合」。いずれもカレンダー日ベースの古典的な指標で、これ自体は今も重要なKPIであることに変わりありません。ジャンル別に語られる目安としては、たとえばRPGでD1 35%前後、Tycoonで30%前後、Obbyで18%前後といった数字が公開されており、ジャンルによってかなり差があります。

一方で2026年のアルゴリズム議論を追っていくと、Day1/Day7 に加えて「24時間以内の復帰率」がより重視されているらしい、という話がよく出てきます。こちらはローリングウィンドウで測る指標で、「離脱した時点から24時間以内に戻ってきたか」を見ています。同じ日の朝に遊んで夜に戻ってきたケースも、翌朝7時に戻ってきたケースも、どちらも同じ復帰行動としてカウントされます。

その復帰率がどれくらい出ているかを見る目安として語られるのが、1日あたり1.2セッション以上という数字。1日に複数回入る習慣がついているユーザーが多ければ、自然と24時間以内復帰率も高くなるからです。1.2を下回ると「構造的に短サイクルの再エンゲができていない」と評価されやすい、と言われています。

Day1と24時間以内復帰率は、似ているようで違う

二つは混同されやすいので整理しておきます。

指標計測方法カウントされる例
Day1リテンションカレンダー日ベース12日21時にプレイ、13日10時に再ログイン → ヒット
24時間以内復帰率ローリングウィンドウ12日10時離脱、12日18時に再入場 → ヒット(同日)

Day1は「翌日に戻ってきたか」を見ています。24時間以内復帰率は「同日内の2回目」もカウントするので、より広い概念です。両者を底上げするには、それぞれに効きやすい打ち手を組み合わせることになります。

翌日に戻すための打ち手(Day1リテンション寄り)

翌日もう一度開かせるための仕掛けは、性質上「24時間後に何かが起きる」ように設計されたものが中心になります。

  • デイリーリワード + 7日streak: 24時間ごとに無料報酬。Engagement Rewards Feature Package で土台を組める
  • プッシュ通知: 2025年から1日1回まで送れるようになった。損失回避型(ストリーク切れ・未回収報酬)が効きやすい傾向
  • オフライン進行(24時間キャップ): 「夜に戻れば満タン回収できる」という設計だと、Day1寄りに効きやすい

このうちデイリーリワードと通知オプトイン誘導は、コストの割に効きやすい印象があるので、初動で必ず検討に入れたい層です。

同日内にもう一度戻すための打ち手(24時間以内復帰率寄り)

同日内の2回目ログインを促す仕掛けは、別の発想で組みます。

  • 短ラウンド設計(5〜10分): 1セッションが短いほど「今日もう1ラウンドだけ」が成立しやすい
  • 時刻指定イベント(初週濃密): 朝・昼・夜に「行かないと損する時間帯」を作る。カスタムイベントの1時間粒度測定が2025年から利用可能
  • オフライン進行(8時間キャップ): 朝・昼・夜の3回ログインを自然に促せる設定値
  • リザルト画面からの自動再マッチング: 「3秒後に次が始まります」で離脱を防ぐ

短ラウンド設計はゲーム本体の構造設計に関わるので、後乗せが難しい部分。逆に言うと初期設計の段階で意識しておく価値があるところです。

両方に効きやすい層

打ち手の中には、Day1と24時間以内復帰率の両方に効くものもあります。

  • ソーシャルフック: フレンド招待、Co-Play限定報酬、パーティ機能、ギルドミッション。同日2回目も翌日も両方促せる
  • 「友達がログインしました」通知: 翌日にも同日にも使える
  • 2026年から重視されているらしい 7-Day Intentional Co-Play Days per User: 個人のD1リテンションより重視される、という見方もある

「未回収のリターン」という補助線

ここまで紹介した仕掛けを横断して見ると、共通する心理装置として「未回収のリターン」という考え方が補助線になります。デイリーリワードの「明日の報酬」、オフライン進行の「キャップ満タン」、ストリークの「途切れる前に取りたい」感覚、イベント時刻の「もうすぐ始まる」期待 — これらはすべて、ユーザーがゲームを閉じた瞬間に「あとで戻れば取れるもの」を残しています。

複数仕込んでおくことで、ユーザーは「今閉じても、また開く理由がある」状態に置かれやすくなります。これがDay1リテンションにも24時間以内復帰率にも効いてくる根っこの構造ではないか、というのが現時点で持っている仮説です。

ジャンルやスタイルによって最適な組み合わせは変わる

ここで紹介したパターンは、現場でよく見かける例であって唯一解ではありません。たとえば短ラウンド設計はMurder MysteryやTower Defenseには馴染みますが、世界観重視のRPGに無理やり当てはめると、ゲームの個性そのものを削ってしまうことがあります。Roleplay系のような長時間滞在を前提とするジャンルでは、別の指標(D7やD30、滞在時間あたりのソーシャル接触数など)を重視する設計のほうがフィットすることもあります。

オフライン進行のキャップも、24時間がいい場合と8時間がいい場合があります。社会人ユーザーが中心のタイトルで3時間キャップを設定してしまうと、平日に何度も損失感を与えることになり、かえって離反を招くこともあると思います。キャップの数字はDay1を取りに行くか、24時間以内復帰率を取りに行くかという目標から逆算するパラメータとして扱う、というスタンスが安全です。

まとめ — 三つの指標を頭に置く

整理すると、Robloxでリテンションを見るときに頭に置いておきたい指標は次の三つになりそうです。

  • Day1 / Day7: カレンダー日ベース、ダッシュボードで見られる古典的な指標
  • 24時間以内復帰率: ローリングウィンドウ、最近のアルゴリズムで重視されているらしい
  • 1.2 sessions/user/day: 24時間以内復帰率を測る目安としてよく語られる数字

打ち手としては「翌日に戻す系」「同日に戻す系」「両方に効くソーシャル系」に分けると整理しやすい。数字はあくまで観察ベースで、ジャンルや時期で幅があります。仮説として持っておきつつ、データを見ながら詰めていくのが安全だと思います。あくまでひとつの捉え方として、参考になれば幸いです。

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