- Robloxのリテンション指標として定番なのは Day1 / Day7。ダッシュボードでも見られる
- 2026年のアルゴリズムでは、それに加えて「24時間以内復帰率」が重視されているという見方がある
- 1.2 sessions/user/day という数字は、その復帰率を測るひとつの目安として語られる
- Day1は「翌日戻ってきたか」、24時間以内復帰率は「同日内の2回目も含めた短サイクル復帰」。打ち手が少し違う
- 翌日に戻すのはデイリーリワードや通知、同日に戻すのは短ラウンドや時刻指定イベント。両方に効くのがソーシャル系
登場人物
ZehnStudio26 のシニアコンサルタント。Roblox 黎明期から関わっている古株。データの裏側を読み解くのが得意。
あるブランド企業のマーケター。Roblox は最近気になり始めたばかり。専門用語が出るたびに「それ何?」と聞いてくれる、読者の代弁者。
解説 — Day1/Day7に加えて、24時間以内復帰率という第三の軸
リテンション指標の現在地
Robloxでリテンションを測る指標として、Creator Hub のダッシュボードに最初から並んでいるのが Day1 と Day7 です。Day1は「初日に遊んだ人が翌日にも遊んだ割合」、Day7は「7日目にも遊んでいる割合」。いずれもカレンダー日ベースの古典的な指標で、これ自体は今も重要なKPIであることに変わりありません。ジャンル別に語られる目安としては、たとえばRPGでD1 35%前後、Tycoonで30%前後、Obbyで18%前後といった数字が公開されており、ジャンルによってかなり差があります。
一方で2026年のアルゴリズム議論を追っていくと、Day1/Day7 に加えて「24時間以内の復帰率」がより重視されているらしい、という話がよく出てきます。こちらはローリングウィンドウで測る指標で、「離脱した時点から24時間以内に戻ってきたか」を見ています。同じ日の朝に遊んで夜に戻ってきたケースも、翌朝7時に戻ってきたケースも、どちらも同じ復帰行動としてカウントされます。
その復帰率がどれくらい出ているかを見る目安として語られるのが、1日あたり1.2セッション以上という数字。1日に複数回入る習慣がついているユーザーが多ければ、自然と24時間以内復帰率も高くなるからです。1.2を下回ると「構造的に短サイクルの再エンゲができていない」と評価されやすい、と言われています。
Day1と24時間以内復帰率は、似ているようで違う
二つは混同されやすいので整理しておきます。
| 指標 | 計測方法 | カウントされる例 |
|---|---|---|
| Day1リテンション | カレンダー日ベース | 12日21時にプレイ、13日10時に再ログイン → ヒット |
| 24時間以内復帰率 | ローリングウィンドウ | 12日10時離脱、12日18時に再入場 → ヒット(同日) |
Day1は「翌日に戻ってきたか」を見ています。24時間以内復帰率は「同日内の2回目」もカウントするので、より広い概念です。両者を底上げするには、それぞれに効きやすい打ち手を組み合わせることになります。
翌日に戻すための打ち手(Day1リテンション寄り)
翌日もう一度開かせるための仕掛けは、性質上「24時間後に何かが起きる」ように設計されたものが中心になります。
- デイリーリワード + 7日streak: 24時間ごとに無料報酬。Engagement Rewards Feature Package で土台を組める
- プッシュ通知: 2025年から1日1回まで送れるようになった。損失回避型(ストリーク切れ・未回収報酬)が効きやすい傾向
- オフライン進行(24時間キャップ): 「夜に戻れば満タン回収できる」という設計だと、Day1寄りに効きやすい
このうちデイリーリワードと通知オプトイン誘導は、コストの割に効きやすい印象があるので、初動で必ず検討に入れたい層です。
同日内にもう一度戻すための打ち手(24時間以内復帰率寄り)
同日内の2回目ログインを促す仕掛けは、別の発想で組みます。
- 短ラウンド設計(5〜10分): 1セッションが短いほど「今日もう1ラウンドだけ」が成立しやすい
- 時刻指定イベント(初週濃密): 朝・昼・夜に「行かないと損する時間帯」を作る。カスタムイベントの1時間粒度測定が2025年から利用可能
- オフライン進行(8時間キャップ): 朝・昼・夜の3回ログインを自然に促せる設定値
- リザルト画面からの自動再マッチング: 「3秒後に次が始まります」で離脱を防ぐ
短ラウンド設計はゲーム本体の構造設計に関わるので、後乗せが難しい部分。逆に言うと初期設計の段階で意識しておく価値があるところです。
両方に効きやすい層
打ち手の中には、Day1と24時間以内復帰率の両方に効くものもあります。
- ソーシャルフック: フレンド招待、Co-Play限定報酬、パーティ機能、ギルドミッション。同日2回目も翌日も両方促せる
- 「友達がログインしました」通知: 翌日にも同日にも使える
- 2026年から重視されているらしい 7-Day Intentional Co-Play Days per User: 個人のD1リテンションより重視される、という見方もある
「未回収のリターン」という補助線
ここまで紹介した仕掛けを横断して見ると、共通する心理装置として「未回収のリターン」という考え方が補助線になります。デイリーリワードの「明日の報酬」、オフライン進行の「キャップ満タン」、ストリークの「途切れる前に取りたい」感覚、イベント時刻の「もうすぐ始まる」期待 — これらはすべて、ユーザーがゲームを閉じた瞬間に「あとで戻れば取れるもの」を残しています。
複数仕込んでおくことで、ユーザーは「今閉じても、また開く理由がある」状態に置かれやすくなります。これがDay1リテンションにも24時間以内復帰率にも効いてくる根っこの構造ではないか、というのが現時点で持っている仮説です。
ジャンルやスタイルによって最適な組み合わせは変わる
ここで紹介したパターンは、現場でよく見かける例であって唯一解ではありません。たとえば短ラウンド設計はMurder MysteryやTower Defenseには馴染みますが、世界観重視のRPGに無理やり当てはめると、ゲームの個性そのものを削ってしまうことがあります。Roleplay系のような長時間滞在を前提とするジャンルでは、別の指標(D7やD30、滞在時間あたりのソーシャル接触数など)を重視する設計のほうがフィットすることもあります。
オフライン進行のキャップも、24時間がいい場合と8時間がいい場合があります。社会人ユーザーが中心のタイトルで3時間キャップを設定してしまうと、平日に何度も損失感を与えることになり、かえって離反を招くこともあると思います。キャップの数字はDay1を取りに行くか、24時間以内復帰率を取りに行くかという目標から逆算するパラメータとして扱う、というスタンスが安全です。
まとめ — 三つの指標を頭に置く
整理すると、Robloxでリテンションを見るときに頭に置いておきたい指標は次の三つになりそうです。
- Day1 / Day7: カレンダー日ベース、ダッシュボードで見られる古典的な指標
- 24時間以内復帰率: ローリングウィンドウ、最近のアルゴリズムで重視されているらしい
- 1.2 sessions/user/day: 24時間以内復帰率を測る目安としてよく語られる数字
打ち手としては「翌日に戻す系」「同日に戻す系」「両方に効くソーシャル系」に分けると整理しやすい。数字はあくまで観察ベースで、ジャンルや時期で幅があります。仮説として持っておきつつ、データを見ながら詰めていくのが安全だと思います。あくまでひとつの捉え方として、参考になれば幸いです。


