はじめに
2025年12月第2週は、Roblox 公式から開発者にとって重要なアップデートが複数発表されました。パブリック公開時の新しい要件、ベータテスト機能「Experience Betas」、ゲーム内からコミュニティ参加を促せる新API、テクスチャストリーミングによる描画最適化、そしてアバターヘッドのポリシー施行やチャット年齢確認の本格運用など、運営・マネタイズ・品質・安全性の全方位で変化が起きています。
本記事では、日本のRoblox開発者向けに、これらの変更点をわかりやすく整理します。
今週のハイライト
週次まとめ「Weekly Recap」で一気に告知
Roblox DevForum では、2025年12月8日〜12日の動きを振り返る「Weekly Recap」が公開されました。この1本のスレッドの中で、公開要件の変更、マーケットプレイスのポリシー施行、コミュニティ関連APIの追加、Experience Betas、Texture Streaming など、今週紹介する主要アップデートが一気にリストアップされています。
開発者目線では、「今何が公式に動いているのか」をざっと把握するインデックスとして機能するので、まずはここをブックマークしておくと便利です。
公開要件・ポリシー関連
パブリック公開の新要件:ID確認 or 課金履歴が必要に
もっともインパクトが大きいのが、「Public Experience の公開・更新要件」が変わるというアナウンスです。2025年12月17日以降、パブリックとしてエクスペリエンスを公開・更新するためには、原則としてID確認を完了している、または2025年1月1日以降にリアルマネー(またはギフトカード)で課金したことがある、このどちらか1つを満たす必要があります。
さらに、既存クリエイターへの影響を抑えるための救済条件も用意されています。たとえば以下のような条件です。
- 11/9〜12/10のあいだに100時間以上のプレイ時間を獲得した経験に編集権限がある
- 過去12ヶ月以内にDevExを完了している
これらは、“ちゃんと活動している開発者”を通し、コピーゲームや不適切コンテンツを乱発する使い捨てアカウントを抑制する狙いといえます。
日本の開発者としては、新規サブアカウントで気軽にパブリック公開する運用が難しくなる一方、真面目に運営しているスタジオにとっては、プラットフォーム全体の信用向上につながる変更です。
透明ヘッドの一斉削除と自動返金:アバター規約の本格運用
マーケットプレイス関連では、「部分的または完全に透明なヘッド」を一斉に削除するという発表がありました。これは Avatar Marketplace の Body Parts に関するポリシー違反への対応で、該当ヘッドはマーケットプレイスだけでなく、ユーザーのインベントリからも削除されます。
ユーザー側には購入額分の Robux が自動返金される一方で、クリエイターへの返金はありません。ただし、今回の対応ではストライクは付かないと明言されており、既に流通しているアイテムの整理という位置づけです。
今後は同様の規約違反について、通常のモデレーションが適用されるため、アバター系UGCを扱う開発者は、ポリシーとテクニカル要件の再確認が必須になります。
チャットの年齢確認が段階的に必須化
安全性の面では、「Safety Snapshot: December」が公開され、チャット利用における年齢確認(Age Check)の必須化が進められることが発表されました。まずはオーストラリア、ニュージーランド、オランダで必須となり、2026年1月には対象地域全体へ拡大予定です。
チャット前提のゲームでは、特定地域のプレイヤーが突然チャットできなくなる可能性があり、テキストチャット以外のコミュニケーション手段(エモートやUIなど)を用意する重要性が増しています。
出典: Roblox Newsroom
エクスペリエンス運営・コミュニティ
Experience Betas:公開前に限定ユーザーで本格テスト
「Experience Betas」は、本番公開前にベータモードとしてエクスペリエンスを公開できる新機能です。ベータ中はホームのおすすめ枠には表示されませんが、検索やURL直リンク、スポンサー広告からのアクセスは可能で、限定的なプレイヤーからデータとフィードバックを収集できます。
Analytics や Player Feedback API と組み合わせることで、FTUEやコアループの離脱ポイントを詳細に分析でき、「数値目標を満たしてから本公開する」といった運営フローを構築できます。
GroupService:PromptJoinAsync でゲーム内コミュニティ参加
GroupService:PromptJoinAsync の登場により、ゲーム内から直接コミュニティ(グループ)参加を促すネイティブUIを表示できるようになりました。これまで必要だった外部画面への遷移が不要になり、参加までの摩擦が大きく減少します。
イベント告知や報酬設計と組み合わせることで、ライブオペレーションの幅が広がり、承認制グループでもシームレスな申請体験を提供できます。
レンダリング・パフォーマンス最適化
Texture Streaming:高画質と低メモリの両立
「Texture Streaming」は、テクスチャを重要度とデバイスのメモリ状況に応じてストリーミングロードする新しい仕組みです。まずはPC/Mac向けに提供が始まり、今後ほかのプラットフォームにも展開されます。
カメラ距離や画面占有率をもとに品質を動的調整することで、初期ロード時間の短縮、ダウンロードサイズ削減、低スペック端末でのクラッシュ低減が期待できます。
Studio Beta:4k Texture Rendering
Texture Streaming を前提に、最大4096×4096のテクスチャを扱える「4k Texture Rendering」もStudio Betaとして告知されました。ハイエンド端末では高精細表現を、ローエンド端末では安定動作を狙った設計です。
ベータ段階のため、導入時には十分な実機テストが推奨されます。
さいごに(今週の総括・所感)
今週のアップデートを俯瞰すると、悪意ある利用を抑えつつ、真面目な開発者やスタジオが長期運営しやすい方向へ、Robloxが大きく舵を切っていることがわかります。
公開要件やポリシー強化は一見ハードルが上がる変更ですが、健全なエコシステムを守るための前提条件とも言えます。一方で、Experience Betas やコミュニティAPI、Texture Streaming は、運営と品質の両面で開発者の自由度を広げるアップデートです。
日本のRoblox開発者としては、これらを単なる制約ではなく、長期的なブランドとコミュニティを育てるための基盤として捉え、設計やワークフローの見直しに活かしていくことが求められていると感じます。