はじめに
2025年も終盤に入り、Roblox公式からは「2025年末ロードマップ総まとめ」や、パブリック公開要件の本格ロールアウトなど、開発者に直結する重要なお知らせが続いています。今週は、来年以降の大型アップデートの見通しと、エクスペリエンス公開に必要な条件の変更、収益分析まわりの強化、アバター描画の最適化、ホーム画面・検索まわりの発見性改善といったトピックが中心です。日本の開発者向けに、何が変わり、運営・マネタイズ・制作フローにどんな影響が出るのかを整理しました。
クリエイターロードマップ年末アップデート:2026年に向けた優先度とスケジュール調整
「Creator Roadmap: 2025 End of Year Recap」が公開――39機能リリースと2026年スケジュール見直し
DevForumで「Creator Roadmap: 2025 End of Year Recap」が公開され、今年のロードマップ総括と2026年に向けた更新内容がまとめられました。今回のアップデートでは、秋のアップデート以降にクローズしたバグが1,400件以上、出荷済みの新機能が39件に達したことが報告されています。代表的なものとしては、カスタムマッチメイキング(ゲームごとにマッチング条件をチューニングしてエンゲージメントを最適化)、エクスペリエンス内およびマッチメイキングの実験機能(ABテストで施策の因果効果を測定)など、運営・グロース系の機能が強化されました。出典:Developer Forum | Roblox
また、デベロッパープロダクトの地域別価格(Regional Pricing)や、Reimport(ベータ)による外部ツールからの非破壊インポート、ライトのレンジ上限拡大(最大120スタッド)など、収益性・制作効率・表現力のそれぞれを底上げする機能も紹介されています。特にReimportは、BlenderやDCCツールからのモデル更新を「差分アップデート」にしてくれるため、リグや色を保ったまま更新できる点が、日常の制作フローに直結します。出典:Developer Forum | Roblox
さらに、2026年に向けて安全性(Safety)とモデレーション関連の取り組みも強調されています。年内だけで150以上のセーフティ関連リリースがあり、今後はアバターやシーンの自動スキャン、チャットやTeam Createでの年齢確認強化、IARCレーティングとの整合などが予定されています。スケジュール面では、Acoustic SimulationやText Generation APIなど複数の機能が「Early 2026」「Mid 2026」に再配置され、品質と安定性を優先する方針が明示されました。これにより、開発者としては「いつ何が来るのか」を再確認しつつ、自分のプロジェクトのロードマップも見直しておく必要があります。出典:Developer Forum | Roblox
公開要件の本格適用:パブリックエクスペリエンス更新に新しい「入場チケット」
「New Requirements to Publish and Update Public Experiences」スレッドが12月17日に更新
先週告知されていた「パブリックエクスペリエンスの公開・更新要件」について、12月17日付で「ロールアウト開始&本日中に全クリエイターへ適用」というアップデートが入りました。これにより、「Public」での新規公開や更新を行うためには、以下のいずれか1つの条件を満たす必要があります。
- 本人確認(ID Verification)を完了している
- 2025年1月1日以降に、リアルマネーまたはギフトカードで何らかの購入をしている
加えて、既存クリエイターへの影響を減らすための経過措置として、①直近期間(2025年11月9日〜12月10日)に100時間以上のプレイタイムを生んだエクスペリエンスに編集権限がある、または②直近12ヶ月でDevExを完了したことがある、という条件でも対象外扱いになるとされています。出典:Developer Forum | Roblox
この変更の狙いは、いわゆる「コピーゲーム」や不適切コンテンツを大量に投下するボット的アカウントを減らすことです。一方で、新規参入のハードルが少し上がるのも事実なので、日本の開発者としては、ローンチ前にID Verificationを済ませておく、ある程度アイテム購入などをしてアカウントの信頼度を上げておく、といった準備がより重要になります。
また、DevForumでは「この条件だけではボット対策として不十分では?」という懸念の声も上がっており、Roblox側も「今後、UGCアバターアイテムやCreator Store、Communitiesの利用条件も見直し、シンプルかつ一貫したポリシーにしていく」とコメントしています。来年以降、公開・販売に関わる“アカウントの信用スコア”的な考え方が、より前面に出てくる可能性が高いと見ておくと良さそうです。出典:Developer Forum | Roblox
Creator Rewards Analytics強化:収益の「なぜ伸びたか」を可視化
「Introducing new Creator Reward Analytics: Better Data, Better Decisions」が公開
Creator Rewards(旧EBPに代わる新しい報酬システム)が7月に導入されて以降、多くのエクスペリエンスで収益増が起きていますが、その「なぜ」を解像度高く見るための新機能が、DevForumでアナウンスされました。新しいCreator Reward Analyticsでは、主に以下の3点が追加されています。出典:Developer Forum | Roblox
- Reward Penetration Metrics(浸透率指標)
報酬を獲得しているアクティブユーザー(DAU)割合や、新規ユーザーのうち報酬に紐づくサインアップ/リアクティベーションになった割合を追えるようになり、「単にDAUが増えたのか」「設計変更で報酬の取りやすさが変わったのか」を切り分けて分析できます。 - 時間粒度の切り替え(Day / Week / Month)
イベントや大型アップデートの効果を、短期・中期で見比べやすくなりました。 - Annotations(注釈機能)の強化
独自イベントやアップデートをチャートに直接書き込めるようになり、施策と数値変化を一枚のグラフで確認できます。
さらに、Creator Hubの「Share Links」ページでも、外部マーケティングからのクリック数・報酬付きサインアップ・リアクティベーションを時系列で追えるようになりました。これにより、広告施策やインフルエンサーコラボのROIを比較しやすくなり、日本のスタジオにとっては、施策効果を数字で説明する場面で心強いアップデートと言えます。出典:Developer Forum | Roblox
アバター描画の最適化:FastClusterとレイヤード衣装のパフォーマンス改善
「Making Avatar Rendering More Performant」でアバター周りのフレームレート低下を解消
DevForumで公開された「Making Avatar Rendering More Performant」では、アバター描画システム(FastClusterおよびLayered Clothing)に対するパフォーマンス改善が詳しく説明されています。これまで、アバターをハイライトしたり、座らせたり、ツールの装備・解除を行ったときにフレームレートが一時的に落ちる問題がありましたが、今回のアップデートでこうした操作によるフレームドロップが大幅に軽減されています。出典:Developer Forum | Roblox
今回の改善は既に有効化されており、ゲーム側のコード変更なしで恩恵を受けられます。また、2026年初頭にはLayered Clothingのフィッティング処理によるフレームレート低下も解消される予定です。キャラクターカスタマイズが激しいゲームでは、「着替え=一瞬カクつく」体験が減っていくことが期待できます。
さらに、FastClusterの再構築要件も見直され、将来的にはPart.ColorやTransparencyの変更などが再ビルドをトリガーしないようにする計画も示されています。これが実現すれば、表現面での制約が減り、パフォーマンスのマージンが広がるアップデートとして活用できそうです。出典:Developer Forum | Roblox
ホーム&検索の発見性アップデート:継続プレイとジャンル検索を最適化
「Building the Future of Roblox Home and Search」スレッドが12月12日に小規模アップデート
既存のDevForumスレッド「Building the Future of Roblox Home and Search」に、12月12日付のアップデートとして、ホーム画面と検索ページの仕様変更が追記されました。出典:Developer Forum | Roblox
1つ目は、ホーム画面の「Continue(続きから)」ソートで、一番左側の2スロットを直近プレイした2つのゲームで固定する変更です。これにより、既存プレイヤーの再訪導線が強化され、リテンション改善につながる可能性があります。
2つ目は、検索ランディングページにワンクリックで選べるジャンルタグが追加された点です。ジャンルが明確なエクスペリエンスほど、サムネイルやタイトル設計が検索流入に影響しやすくなります。
短期的には小さな変更ですが、「継続プレイ」と「ジャンルベースの発見」は今後のおすすめアルゴリズムにも影響するため、自作ゲームのポジショニングを意識しておく価値は高いでしょう。出典:Developer Forum | Roblox
さいごに
今週は、「何か新しいおもちゃが増えた」というよりも、2025年の総括と2026年に向けた土台づくりが一気に見えてきた週という印象です。Creator Roadmapの年末アップデートでは、制作・運営まわりの改善が進む一方で、いくつかの大型機能は2026年にスライドし、「まずは安定性とクオリティを固める」という姿勢がはっきりしました。公開要件の変更や年齢確認強化も含め、安全で継続しやすいプラットフォームへ舵が切られていると見てよさそうです。
日本のRoblox開発者としては、短期的には運営ルールへの対応、中期的にはCreator Rewards Analyticsや実験機能を使った数値ベースの意思決定が重要になってきます。2026年には、アバター表現やエンジン性能、ディスカバリーまわりの大型アップデートが本格化する見込みです。今のうちに分析基盤と運営フローを整えておくことが、来年以降の伸びしろに直結していくはずです。出典:Developer Forum | Roblox